商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームからしんでざいんに支払われることがあります。
2025年1月に東京でスタートし、大阪、名古屋へサービスを拡大するフードデリバリーサービス運営会社「ロケットナウ」は、配達料・サービス料無料という驚くべき仕組みで注目を集めています。
無料配達と聞くと運営会社は「どうやって収益を上げてるの?」「何か裏があるのでは?」どこから収益を得ているのか疑問に思いますよね。
そこでこの記事では、ベールに包まれたロケットナウの収益構造、運営会社、無料配達の仕組みをユーザー・配達員の視点を交えながら考察してみます。
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ロケットナウとは?運営会社をチェック
まずは、ロケットナウの基本情報を確認しましょう。以下のポイントで概要を整理します
- サービス開始 2025年1月14日、東京都港区でスタート。
- 運営会社 CP One Japan合同会社(韓国の大手EC企業Coupangの完全子会社)。
- Coupangの背景 ニューヨーク証券取引所上場、フォーチュン150、2024年売上約4兆5,000億円のグローバル企業。
- 運営会社所在地 東京都港区六本木七丁目15番9号 住友不動産六本木セントラルタワー15階
- 代表者 井上智宏氏。
Coupangは2021~2023年に日本で物流事業を展開した後、一時撤退しましたが、ロケットナウを通じてフードデリバリー市場に再挑戦。
韓国のクーパン(Coupang)を日本企業に置き換えると?
韓国最大のEC企業「クーパン(Coupang)」は、韓国のAmazonと呼ばれるほど圧倒的な存在です。
EC、物流、フードデリバリー、動画配信までを自社で一貫して展開しており、韓国内の生活インフラに深く入り込んでいます。
2024年時点での売上は約4.5兆円、時価総額は約5兆円を超え、社員数は8万人以上かつ成長率は20〜25%。
その規模感はもはや一企業というより、国家レベルのデジタル流通インフラです。
ちなみにソフトバンクGは時価総額8〜9兆円相当。
もしこのクーパンを日本企業で置き換えるとすれば、それは「Amazon Japanと楽天を合わせたような存在」に最も近いでしょう。
さらに自社物流網「Rocket Delivery」はAmazonのFBA(物流インフラ)を上回るほどのスピードを誇り、加えて「出前館(Coupang Eats)」や「U-NEXT(Coupang Play)」のようなサービスも内包しています。
つまり、クーパン = Amazon Japan + 楽天市場 + 出前館 + U-NEXT
といった構図。
日本にこの規模とスピードの企業が存在すれば、間違いなく国内のEC・デリバリー業界の構図は一変するでしょう。
なぜ無料配達を提供できる?収益構造の仕組みを考察
ロケットナウはなぜ無料配達を提供できるのでしょうか、収益構造の仕組みをここからは探っていきたいと思います。
ネットで「ロケットナウ 怪しい」と検索すると、以下のような声が見られます。
- 「無料の利益構造が分からない」
- 「急に拡大しすぎで胡散臭い」
- 「ゴーストキッチンだらけでは?」
日本のフードデリバリーでは当たり前に送料や手数料を支払っていたことを考えると、それらが無料になることに対する不安は当然です。
私も最初は「本当に大丈夫?」と思いましたが、なぜそんなことができるのかを収益構造の仕組みを交えて紹介します。
ロケットナウの特長は?
ロケットナウの最大の特徴は以下の2点です
- 配達料・サービス料無料 ユーザーは追加料金なしで注文可能。
- 店頭価格据え置き アプリ上の価格が店舗と同じ。
ウーバーイーツをはじめとした各デリバリーサービスはサブスク登録することで配達料が無料になります。
サブスクは注文者の囲い込みをすると同時に、一定の収益性が期待できますが、現状ロケットナウはサブスク登録なしで配達料・サービス料無料が無料になるモデルになっています。
サブスクなしでどうやって収益を上げていくのでしょうか。下記のポイントを順番に解き明かしていくことで全体像が見えてきそうです。
- 提携店舗からの収益化
- 本場韓国での無料配達の成功
- 収益モデルの整理
- 他社との収益モデルの違い
提携店舗からの収益化
ロケットナウの収益モデルは、主に以下の方法で成り立っています
- 飲食店からの手数料 注文ごとに飲食店から売上を手数料として徴収。これはUber Eatsや出前館と同様、業界標準のモデルです。
現在は、Coupangの強力な資金力を背景に、短期的には利益より利用者数拡大を優先する「投資フェーズ」にあります。
- 利用者増加後 集客力を武器に、店舗提携料を引き上げる。
つまり、店舗がロケットナウ経由の売上に依存するようになった段階で収益化する仕組みが想定できます。
過去の実績を参考にこの手法がビジネスモデルとして通用するのを見ていきたいと思います。
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本場韓国での無料配達の成功
親会社のCoupangは2024年3月に韓国で有料サブスクリプションのWowメンバーシップを始めました。
これは月額約530円で無制限の無料配送を受けられるサービスです。
このおかげで同社のフードデリバリー部門であるクーパンイーツの利用者数の流入が加速し、月間利用者数はYogiyoを抜いて第2位に浮上しました。

2025年1月時点でモバイルアクティブユーザー数は1,002万人と、韓国内最大規模のBaemin(ペダリ・ミンジョク)2,261万人に迫る勢いです。
クーパンイーツの利用者数増加・定着率をあげたこの成功体験が日本市場へ参入するきっかけとなったのではないかと考えられます。
収益モデルの整理
ロケットナウのようなモデルは、ビジネス理論的には以下のように言い換えることができます。
- 両面市場モデル(Two-sided Platform) : ユーザー(需要)と店舗(供給)の両方をつなぐプラットフォーム型。
- サブシディ戦略(補助金モデル) : 初期段階では一方(注文者)を優遇し、もう一方(店舗)から収益を得る。
- ロックイン戦略 : 店舗が顧客流入をロケットナウに依存するようになることで、加盟店料金を上げても離れにくくなる。
つまりロケットナウは、人と店をつなぐプラットフォームを作り、最初は利用者を優遇して広げ、後でお店から利益を得る、そんな育てて稼ぐビジネスモデルです。
他社との収益モデルの違い
Uber Eats、出前館は注文者から「配送手数料」+店舗からの「サービス料」、「広告料」で収益化しています。
| ロケットナウ | Uber Eats | 出前館 | |
| 収益モデル | 加盟店手数料 | 加盟店手数料、広告、配達料 | 加盟店手数料、広告、配達料 |
| 加盟店手数料 | 35% (22%/3ヶ月) | 約35%(自店配達15%・持ち帰り12%) | 約35% |
| 配達料 | 無料 | 有料(注文者負担) | 有料(注文者負担) |
| エリア | 東京23区+一部神奈川・埼玉・千葉 | 全国主要都市 | 全国主要都市 |
ロケットナウは、徹底的にユーザー側の負担をゼロにして市場を拡大する点で差別化されています。
ただしこのモデルには配送無料を続ける場合のコスト負担、提携料の引き上げに対する店舗側の反発、競合(Uber Eats・出前館)との囲い込み競争といった課題もあります。
とはいえ、ユーザー体験を優先した戦略は一定の効果が期待でき、短期的な市場シェア獲得には非常に有効です。
資金をどこまで投下できるかにもよりますが、前述した親会社クーパン(Coupang)の資本力を考えれば黒字転換までの持久力はあると考えて良さそうですし、そう考えての市場参入なのでしょう。
将来的には韓国で実施されているサブスクリプション導入や提携店舗手数料の引き上げなどから収益を得る構造へシフトしていく可能性が考えられるでしょう。
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ロケットナウの収益構造の仕組みは注文者にどんなメリットがある?

ロケットナウの収益構造の仕組みはわたしたち注文者にどんなメリットがあるのかを深掘りしていきます。
ユーザーがフードデリバリーに求めるもの
フードデリバリーサービスの利用目的に関する調査では、「料理をするのが面倒」「外出が面倒」といった、時間や手間を節約したいというニーズが全体の約70%を占めるという結果が出ています。
ロケットナウは、「送料・サービス料ゼロ」という料金体系によって、この「手間を省く」という行為に伴う心理的な負担(高い手数料を払ってまで頼むべきか)を軽減します。
これにより、ユーザーはより気軽に、そしてより頻繁に手軽にサービスを利用するようになると考えられます。
ロケットナウのメリット

ロケットナウがユーザーに選ばれる理由は、注文料金メリットに加えて、いくつかの付加価値がユーザーの満足度を高めています。
- 店頭価格で注文 : ロケットナウは送料・配送料無料に加えて、レストランによってお店で購入する際同様の店頭価格で注文できます。ウーバーイーツや出前館といった既存のサービスは、加盟店手数料が商品価格に上乗せされているため送料やサービス料を除いたとしてもそもそもの商品自体が割高価格に設定されています。
- リアルタイム追跡機能 : 注文が確定すると、ユーザーは正確な到着予定時間(ETA)と配達ドライバーの現在地をリアルタイムで確認することができます。これにより、「いつ届くかわからない」という不安が解消され、ユーザーの利便性が向上します。
- 幅広い品揃え : 和食、洋食、メキシコ料理、ハンバーガー、ピザ、そして韓国料理など、多岐にわたるジャンルの店舗が揃っています。特に、運営会社が韓国企業であることから、韓国料理の店舗が充実しているという声もあり、特定の食文化を好むユーザーにも魅力的なサービスとなっています。
- 強力なキャンペーン : 初回クーポンやお友達紹介クーポンの配布など、新規ユーザー獲得を目的とした強力なキャンペーンを積極的に実施しています。
▼デリバリーのmenuで合計6,800円のクーポンをもらって、配達料を無料する方法はこちらの記事で紹介。
実際いくらお得なの?

バーガーキングで同じお店、商品、サイドメニュー、距離で注文する場合のロケットナウ、Uber Eats、出前館の注文画面を見てみましょう。
アボガドワッパーセットという商品を注文するとして注文価格はロケットナウは1,090円、Uber Eatsは1,692円、出前館が1,740円となりました。
商品価格はロケットナウの店頭価格1,090円に対してUber Eatsと出前館は約32%上乗せされた1,440円になっています。
そこからUber Eatsはサービス料202円+配達料50円、出前館は送料300円が加算されます。
時間帯や曜日によって変動しますが、私が検証した時は出前館が650円、Uber Eatsが602円ロケットナウより割高になっていたことがわかりました。

バーガーキングが店頭価格で注文できるのは嬉しいポイントです。

ボリュームがすごくておいしかったです!
ヘビーボディバーガーセット

うまし!ドリンクもこぼれないようにフィルムが貼られていました!
アボガドワッパーセット

初注文で割引クーポンまであり、これからも利用するつもりです。
クラシックスモーキーフライドチキンバーガー
注文者からは好意的なレビューが多いため、関東圏エリア内の方なら配達料・サービス料無料+クーポン活用でお得に試す価値があります。
注意点
- 支払いはクレジットカード・PayPay(現金不可)。
▼ロケットナウの対応エリアはこちらの記事で紹介
▼ロケットナウの詳細な口コミ情報はこちらの記事で紹介
注文者向け初回クーポン

ロケットナウでは初回注文が70%割引になる特典や、友達を紹介することで総額5,000円分のクーポンを獲得できるなど、新規顧客を呼び込むための魅力的なプロモーションを積極的に展開しています。
割引金額は変更されることもあるので早めにダウンロードをしましょう。
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ロケットナウの収益構造から、配達料金無料だけでなく一部店舗の店頭価格販売やレストランバリエーションの豊富さ・初回クーポンの割引などわたしたち注文者にとっても利用しやすい仕組みとなっていることが見えました。
ロケットナウの無料配達の仕組みで配達パートナーは稼げるの?

ロケットナウの無料配達の仕組みから「配達料無料なのに、配達パートナーは一体どうやって稼いでいるのだろう?」と疑問に思う方も少なくないでしょう。
一見すると、ユーザーからの配達手数料がない分、配達パートナーの報酬が低くなるように感じられます。
しかし、ロケットナウは親会社であるクーパンの強大な資本力と物流ノウハウを背景に、独自の収益構造を構築しています。
配達パートナーには、需要に応じて報酬が変動する「ダイナミックプライシング」が採用されており、長距離配達の報酬も手厚く設定されています。
これにより、他社と比較して同等〜高めの報酬単価が実現されており、無料配達にもかかわらず、配達パートナーが効率的に収益を上げられる仕組みが整えられています。
報酬体系
- 1件あたり基本報酬320円+距離・ミッションやリワードプログラム、悪天候ボーナスの追加報酬。
- 週払いで即金性があり、Uber Eatsや出前館と同水準。
アプリと安全性
- アプリは「シンプルで使いやすい」が、リリース直後の不具合(フリーズなど)報告あり。
- 安全面は「訓練を受けた配達パートナー」と公式表明、保険は自己加入推奨。
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フードデリバリー配達員の方は、お仕事中の事故やトラブルがすべて自己責任になることをご存じでしょうか?
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- 万が一のトラブルに備えておけば、安心して配達できる
- 「とりあえず保険に入りたい」という方にぴったり
課題
- エリアによってレストランや注文数に偏りがある。
成長中の配達プラットフォームですが、アプリの操作性や業務手順はウーバーイーツ経験者であれば問題なく参入することができます。無料配達ですが配達パートナーにはきちんと報酬が支払われ、さらに加盟店が集中するエリアでは他プラットフォームよりも売上の可能性が広がります。
▼詳しいロケットナウの配達パートナー登録方法はこちらで解説
配達パートナー向け紹介コード
ダウンロードリンクから新規配達パートナー登録後、2週間以内に一度配達するだけで2,000円を獲得することができます。
※登録後にお友達紹介キャンペーンのタブから紹介コードが適用されているかを確認することをおすすめします。適用されていない場合は紹介コードMD9U0JCLを入力することでキャンペーンに参加することができます。
また紹介コードとは別で初配達だけで2,000円を獲得できることから、お友達紹介キャンペーンと合わせて合計4,000円のボーナスを獲得できることになります。
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※新規登録の配達パートナーへの適用になります。
ロケットナウの無料配達の仕組みにもかかわらず、配達パートナーを積極的に採用する体制が整っており、配達報酬も適切に支払われていることがわかりました。
ロケットナウの無料配達の仕組みでトラブル対応とサポート体制は大丈夫?

ロケットナウの無料配達の仕組みからトラブル時のサポート対応はしっかり受けられるのかは気になりますよね。以下にまとめます。
- トラブル事例 :アプリの退会処理で稀に不具合報告あり。▶︎サポート連絡で解決可能。
- 飲食店向け :専任サポートチームが対応。
- 注文者向け :電話(0120-777-568)やアプリでサポート窓口を提供。
- 配達員向け :電話(0120-600-433)やアプリでサポート窓口を提供。
- 現状 :新サービスゆえ「対応が遅い」との声もあるが、Coupangのグローバル実績から体制強化が期待できる。
無料配達であってもサポートがトラブル時に返金対応してくれなかったり、詐欺や重大なトラブル報告もなく、安心してサービスを利用出来る体制が整っているようです。
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●サービスに関するお問い合わせ cs@menu.inc / menu株式会社 / 10:00~18:00 土日祝祭日・年末年始を除く
ロケットナウの収益構造とと無料配達の仕組みまとめ

ロケットナウの運営会社はCP One Japan合同会社でクーパン(Coupang)という世界的な大手企業の子会社です。
無料配達は先行投資資金と現状飲食店手数料などで支えられるている収益構造であると考察しました。
ロケットナウの収益モデルは、「両面市場型プラットフォームにおけるサブシディ型ロックイン戦略」 と言えます。注文者へは無料配送で利用拡大し、提携店舗料の引き上げで長期的には依存度を高め、プラットフォームとしての価値を最大化する健全なビジネスモデルです。
注文者視点ではバーガーキングなど大手チェーンと提携、店頭価格据え置き、ユーザーからの高評価、トラブル時に返金対応がされないなどの詐欺的な報告はなく安心して使えるサービス(対象エリアの方は、クーポンを活用してぜひ試してみてください)と言えます。
配達パートナーとしても既存のデリバリープラットフォームで稼働されていれば特に問題なく参入でき、報酬もきちんと支払われエリア次第では高収入を期待できるでしょう。
その巨大な資本力だから成し得る体力勝負でうまく黒字化できれば、将来的には母体のクーパンを日本展開するための足がかりとしていると考えられ、そのために規模拡大を目指していると思われます。
そう考えるとロケットナウというネーミングよりもクーパンイーツで展開、認知向上を目指す方がいいのではと思いましたがそれはまた別の話。
今後、どのように収益モデルを調整し、店舗とユーザー双方にとって持続可能なサービスを運営できるかが注目されます。










